「破砕」とは、廃棄物や原料となる固形物を砕き、処理・再資源化しやすくするための基本的な工程です。産業廃棄物処理やリサイクルの現場では欠かせない技術ですが、粉砕や切断との違いが分かりにくいと感じる方も多いでしょう。
本記事では、破砕の意味や役割、主な用途、メリットまでを初心者にも分かりやすく解説します。
破砕とは
「破砕」とは、廃棄物や原料となる固形物を物理的な力で砕き、後工程で処理・再利用しやすい状態にする工程です。中間処理工程の初期段階で行われ、減容化による運搬効率の向上や、金属やプラスチックなどの資源回収効率向上につながります。
破砕後は、金属やプラスチックなどの再資源化可能物が選別・回収され、それ以外は焼却・溶融などの工程へ送られます。産業廃棄物処理やリサイクル工程において、前処理として重要な役割を担っています。
破砕の仕組みと流れ
「破砕」の一般的な処理フローは、以下のとおりです。
1. 受け入れ・前選別:搬入された廃棄物から、破砕機を傷める可能性がある巨大な金属塊や、爆発の危険があるもの(ガスボンベなど)を手作業や重機で取り除きます。
2. 投入・破砕:対象物を破砕機に投入し、物理的な力(圧縮、剪断、衝撃など)で目的のサイズまで砕きます。
3. 磁力選別:破砕されたものの中から、磁石を使って鉄などの磁性金属を回収します。
4. 粒度選別・風力選別:振動ふるいを使って大きさをそろえたり、風の力で軽いプラスチックと重いがれき類を分けたりします。
5. 再資源化・最終処分:選別された金属やプラスチックは原料としてリサイクルされ、どうしても再利用できない残渣は焼却や埋め立てに回されます。
破砕できるもの・できないもの
「破砕機」には得意・不得意があり、必ずしも何でも破砕できる”万能破砕機”があるわけではありません。その違いや特徴を知り、事前に適切な選別を行うことで、破砕機の故障や事故を防ぐことができます。
破砕できる主な対象物
・建築廃材・がれき:コンクリート塊、レンガ、タイルなど
・廃プラスチック類:梱包材、容器、プラスチック製品全般
・木くず:解体家屋の柱、廃パレット、剪定枝など
・金属くず:スチール缶、アルミサッシ、小型家電など
・その他:古紙、繊維くず、ゴムくず、タイヤなど
注意が必要なもの・破砕できないもの
・爆発・火災のおそれがあるもの:スプレー缶、ガスボンベ、リチウムイオン電池。これらは破砕時の衝撃や摩擦で発火し、大規模な火災事故につながるため厳禁。
・極端に硬い金属塊・太い金属塊:重機のカウンターウェイトや太い鋼シャフトなどは、破砕機の刃を破損させるおそれがある。
・長尺のワイヤー・ロープ:一軸破砕機などの回転体に巻き付き、過負荷による停止(過電流)や故障の原因になり得る。
破砕と粉砕・切断の違い
破砕・粉砕・切断は対象物を小さくする処理という意味では同じに聞こえますが、目的と仕上がりの粒度に明確な違いがあります。
破砕は20mm~300mm程度の大塊を小さくする1次処理で、粉砕は破砕よりもさらに細かい粒度へ加工する2次処理です。破砕機には減速機(ギア)があり金属混入に強い一方、粉砕機は高速回転式が多く、金属混入に弱い傾向があります。
一方、切断は刃物で線状に切る処理で、粒度をそろえるわけではありません。プラスチックのリサイクルでは破砕→粉砕の順で処理され、押出機投入前の前処理として機能します。
破砕の主な用途
「破砕」は産業廃棄物処理やリサイクルなど幅広い分野で活用され、資源循環に欠かせない役割を担っています。建築廃材、木材、廃プラスチック、紙、ゴム類、タイヤ、小型家電などの処理に使用されるのが一般的です。廃プラスチックは破砕後に原料や燃料として再利用され、靴や洋服にリサイクルされることもあります。
また、情報機器の破砕は、データ漏えいや不正転売のリスク低減にもつながるのがメリットです。鉱石の分別、岩盤・コンクリート構造物の解体、廃棄物の減容化など、多様な用途で破砕工程が用いられます。
破砕機の種類
破砕機は処理対象や粒度に応じて多様な種類があり、用途に応じた選定が重要です。
例えば、一軸破砕機は1本の回転シャフトと固定刃で材料を切断し、二軸破砕機はシュレッダーのように2本の刃で破砕します。ジョークラッシャーは圧縮力で石やがれきを砕き、コーンクラッシャーは摩耗性の高い材料に強いのが特長です。
ハンマークラッシャーは衝撃力で破砕し、ダブルロールクラッシャーはローラーで圧砕します。粗破砕では二軸式が使用されることが多く、鉱石やがれきの1次処理ではジョークラッシャーが用いられます。
破砕のメリット
「破砕」を行うことで、廃棄物処理の効率化やコスト削減、環境負荷低減といった多くのメリットが得られます。減容化すれば運搬コストが下がり、埋立量も減らすことが可能です。サイズを縮小することで選別・処理がしやすくなり、レアメタルなどリサイクル資源の回収率も向上します。さらに、情報機器の破砕はデータ漏えい防止にもつながります。
また、焼却・溶融工程でのエネルギー効率が改善し、全体的な処理コスト削減を実現できます。循環型社会の実現に寄与し、持続可能な資源管理を支える基盤技術です。
破砕は廃棄物処理・リサイクルの基盤工程
「破砕」は、廃棄物処理やリサイクル工程において欠かせない基盤技術です。建築廃材や廃プラスチック、小型家電、木くずなどを適切なサイズへ破砕することで、運搬・選別・再資源化を効率的に行えるようになります。
また、破砕機には一軸式・二軸式、ジョークラッシャー、ハンマークラッシャーなど複数の種類があり、処理対象や目的に応じた使い分けが必要です。粉砕や切断との違いも理解した上で、適切な設備や処理フローを選定することが、コスト削減や資源循環の最適化につながります。