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2022.6.29

世界最大級のリサイクル機器が集うIFAT2022@ミュンヘンを視察して  リョーシンHPコラム 第三弾

コラム

世界最大級のリサイクル機器が集うIFAT2022@ミュンヘンを視察して

~世界全体のフラフ燃料(RDF)の需要加速~

 

 

2022年5月30日~6月3日までドイツ・ミュンヘンで開催されたIFAT(国際上下水処理・廃棄物処理・再資源化技術専門見本市)を視察してきました。このリサイクル分野における世界最大級の見本市は2年に1度開催され、約26万㎡もの大規模会場にはヨーロッパ中心に世界各地から最新の技術が集結し、約119,000人が期間中に集いました。前回は2020年に開催予定でしたが、コロナの影響で中止になったことにより、4年ぶりの開催ということもあり、注目度、熱量ともにはかなり高いように感じました。

 

会場に入ってまず驚いたのが、その規模はもちろんですが、誰一人としてマスクを着けていない様子。どうやらこちらでは、「マスク=体調が悪い人」と思われてしまうようで、すでにワクチン接種が済んでいて健康な人はマスクを着けなくても構わないそうです。「マスク=予防」のイメージが根付いてしまった私たち日本人からすると、少し違和感を覚えました。

 

(会場入り口の様子:入場開始時間とともに大勢の人たちが会場に押し寄せます。)

 

 

 

会場に入り目に映るのは様々なカラーバリエーションとオブジェ・・・。どの企業のブースもふらっと寄りたくなるようなオシャレなデザイン。日本の展示会とは異なり、あまりパネルなどの文字情報での展示はありません。何か気になることがあればスタッフと話せばいいじゃないかというスタンスです。

 

(展示風景:おしゃれなデザインが目をひきます。)

 

 

さて、ここからが本題ですが、会場のブースを回り聞き込み調査をした中で、ヨーロッパにおけるRDF(※日本では「フラフ燃料」と言われる、廃プラスチックや木くず、紙くずなどの廃棄物から作られる代替燃料)の動向について興味深い話を聞くことができました。

 

日本でも廃棄物から生まれるフラフ燃料はセメント会社や製紙会社などで石炭の代替燃料として使用されています。

理由としては、①化石燃料(石炭)の消費削減、②CO2排出削減、③熱エネルギーとして回収(エネルギーリカバリー)※ただ、焼却するのではなくエネルギー回収ができる、④埋立の削減の4点が挙げられます。ヨーロッパのセメント会社における燃料代替率は平均で65~70%ということで、日本の30~40%と比較しても高いのですが、ここ最近はさらにその需要が大きくなってきていると言います。なぜか?

それは、石炭の価格が高騰しているためです。(そのコストは一時期の安定していた時期の3倍とまで言われています。)そこで石炭の代わりとしてもっと多くのフラフ燃料が世界中で求められています。(※トップランナーと呼ばれるような代替燃料率が高いセメント会社は、代替燃料率が95~98%の比率とさえ聞こえてきました、これには大変驚きました。日本では、平均20~30%と言われています。)

 

また、東欧のセメント会社では、フラフ燃料を製造できるリサイクル会社があまり充実していない理由から、セメント会社自身でフラフ燃料製造プラントを設けて製造しているところが多いとのことです。基本的にセメント製造では、ロータリーキルンで24時間連日フル稼働させますから、消費する燃料も相当量が必要です。それが、廃棄物から代替できるとなれば、環境負荷の軽減においても、調達コストにおいてもメリットがあります。

 

さらに中欧から西欧(イギリス含め)では、4,000kcal/kg以下のような低カロリーのフラフは無料で取引されるようです。(※日本では逆有償が一般的です。)

 

そして、高品質なフラフについては燃料として有価での取引がなされています。そして品質について考えたときに、塩素濃度もよく注意される項目でしょう。日本では多くの場合、受け入れできる塩素濃度基準が●●PPM以下という形で、セメント会社ごとに定まっています。塩素は設備の老朽化を早める原因となるので、フラフ燃料に含まれる塩素量を少なくする必要があります。フラフ燃料中の塩素量を少なくする方法としては主に次の3つが日本では採用されています。

➀材料を吟味し塩素の多いものは投入しないようにする。②製造の工程で選別し除去する。(見た目で判断することは難しいので、光学式選別機によってPVCを除去。)③事業系プラスチックなど、状態の良いきれいな事業系プラを配合し、塩素濃度を希釈する。日本ではこれらがメジャーな方法ですが、ヨーロッパではどの手法もあまり用いられていないようです。というのも、ヨーロッパではほとんどのセメント会社が塩素バイパスを設置しています。(日本でもキルンの改造が増えてきていると聞いております。)これは、塩素ガスを冷却&固形化して除去する装置で、この装置があれば、10,000PPMといった高塩素濃度においても受入が可能となり、ヨーロッパではこの手法を用いて、10,000PPMというのが基準となっているとのことでした。

 

日本では、先にあげた塩素濃度を下げる希釈という手法が一般的ですが、先を行くヨーロッパでは比較的きれいな事業系プラはマテリアルリサイクルにまわすということが、日本にも増しているように感じました。実際に、ヨーロッパにはプラスチックのペレタイザーを製造するメーカーが沢山あることからもそれをうかがい知ることができます。

 

 

IFAT視察によって学べたことは、ヨーロッパが誇る技術力の高さはさることながら、ヨーロッパの環境問題への取り組み方や考え方です。社会や文化が異なるため、一概に日本と比較してどちらが良い、悪いとは評価できませんが、ヨーロッパ独自の環境意識について知ることができました。次回の会期は2024年ですが、その頃の世界は今とどう変化しているでしょうか。今の常識が非常識に、今の非常識が常識になっているかもしれませんね。また次回参加した際にも、みなさまにご報告できますこと楽しみにしております。

 

(AMPロボティックス社との会食風景)