「破砕機は種類がありすぎてどれが良いのかよく分かりません・・・」といったお声をお客様からよくお聞きします。
破砕機は種類が多く機種だけでも、一軸破砕機、二軸破砕機、四軸破砕機、粗破砕機、ハンマー、ジョークラッシャーなどと多く、その中でもスクリーンの有無、せん断式か引き裂き式か、押し込みは付いているか、衝撃か圧壊かなど多くの分野に枝分かれしています。
破砕機の導入は大きな投資となり失敗は出来ません、「うちの会社に適したベストな破砕機が欲しい」とお客様が思われるのは当然です。
ここでは、お客様が破砕機を選ぶ際に、お役立ていただける破砕機の基礎知識をご提供します。
この知識を備えることによって、失敗しない破砕機の選択が可能となります、ぜひ破砕機選びの参考にしていただけますと幸いです。
破砕機とは?

破砕機とは、その名の通り材料を物理的に細かく砕く機械のことを指します。
処理対象はさまざまですが、いずれも共通する目的は「減容化」と「後工程の効率化」です。
たとえば、大きな廃材を細かく破砕することで、運搬や保管がしやすくなり、廃棄コストの削減にもつながります。また、一定のサイズに整えることで、選別ラインでの自動選別精度が向上し、再資源化の効率も高まります。
特に「混合廃棄物(複数の素材が混在した廃棄物)」を扱う場合は、前処理としての破砕が不可欠です。初期工程で粒度(サイズ)をできるだけ均一に整えることが、選別精度に大きな影響を与えるためです。
良い破砕機を見極める5つのポイント
安定稼働できる破砕機を選ぶためには、以下の点を総合的にチェックしましょう:
・破砕困難物にも対応できる十分なトルク(破砕力)があるか
・金属塊などの異物が混入しても損傷しにくい耐久性があるか
・処理対象に対して十分な処理能力(処理量/h)があるか
・刃物や軸などのメンテナンスが容易で、交換コストが過大でないか
・作業員の安全を確保できる構造・設計になっているか
破砕機の種類と特徴
【一軸破砕機】

一軸破砕機とは、その名の通り1本のシャフト(軸)を搭載した破砕機です。軸には回転刃、下部には固定刃が設けられ、投入された材料は両刃が交差する点で切断されて破砕されます。
※点の切断:交差する瞬間に挟まった材料が切断される仕組み
また、排出口にはスクリーン(網目状の部品)が設置されており、材料が所定サイズ以下になるまで繰り返し破砕される仕組みです。
◎メリット
・スクリーン搭載により、破砕物の粒度を均一に整えることが可能
・最小10mm程度の細かい粒度にも対応
・プッシャー機構により、噛み込みにくい材料の処理も可能
・スクリーン交換のみで排出サイズの変更が可能
・ランニングコストが低く、刃は4面使用でき経済的
・刃のギャップ調整が容易で、処理能力を維持しやすい
△デメリット
・通常高速回転構造のため、金属等の硬い異物に弱く故障するリスクがある
⇒ ただし、当社製品にはセーフティークラッチを標準搭載しており、この問題を解消しています。
・スクリーンを取り付ける為、穴のサイズによっては処理能力が低い傾向にある
⇒ただし、当社製品には最大の能率化を実現しており、20mm以下でも大量の処理能力をご提案できます
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【二軸破砕機】

二軸破砕機は、2本の回転軸に刃を搭載し、互いに噛み合うように動くことで、強力なせん断力を生み出します。短冊状に材料を破砕するのが特徴です。
※せん断:はさみのように刃同士の隙間で線状に材料を切る仕組み
◎メリット
・高トルクによる強力なせん断力で、漁網やカーペット、フィルムロールなどの破砕困難物にも対応できます
・低速・高トルクの設計であれば、異物の混入に強くなり、耐久性に優れている
・シートなどの薄物、繊維系素材にも対応可能
・一軸破砕機に比べて高い処理能力
・刃の交換頻度が少なく、メンテナンス箇所も少ない
△デメリット
・スクリーン非搭載のため、破砕物の粒度を均一化できない
⇒ 二軸破砕機は構造上スクリーンの搭載が出来ません、無理に取り付けた機械もありますが、シャフトが折れるリスクや軸への材料からまりが常に発生し、安定稼働が出来ません。
・軟質素材は刃物幅で細長く排出される
・刃の修理の際、面出しの必要があり機械加工を必要と鳴るため、一軸機よりランニングコストがやや高い傾向にあります
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【四軸破砕機】
四軸破砕機は、一見すると二軸機の強化版と思われがちですが、最大の特長はスクリーンを搭載できる点にあります。主な破砕は中央の二軸で行い、残りの2軸はスクリーンを通過できなかった材料を再度持ち上げて破砕を繰り返します。
メリット
・二軸機の「強力な破砕力」と、一軸機の「粒度の均一化」を両立
・一軸機と比べ、金属などの異物に対しても高い耐久性
デメリット
・軸が4本あるため、刃のメンテナンスコストが高くなる(少なくとも二軸の2倍程度)
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【粗破砕機(一次破砕)】

粗破砕機は、選別工程の前段階で使用する「一次破砕機」に該当します。特に混合物を処理する前工程で、破砕対象を適切なサイズに調整することが目的です。
当社では主に二軸タイプを粗破砕機として採用しています。
特徴
材料を手のひらサイズ(150~200mm程度)に破砕することで、振動ふるい、風力選別・光学選別、AI選別ロボット、手選別など、次工程の選別精度を高めます。
重要なのは、「細かくしすぎない」こと。過度な破砕は、選別できない微粒子(ふるい下残渣)を多く発生させてしまいます。
◎メリット
・選別に適したサイズで処理しやすくなる
・微小残渣の発生を抑制し、最終処分コストを削減
・金属塊などの混入があっても破砕機の損傷リスクが低い
・回転刃、固定刃ともにメンテナンスが容易で、交換も簡単
△デメリット
・スクリーン非搭載のため、破砕サイズを厳密に揃えることは不可
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【ハンマー式破砕機】

軸に取り付けられたハンマーが高速回転し、投入物に衝突することで破砕します。石膏ボードやガラス、砕石などの硬く割れやすい素材に適しています。
◎メリット
・石やがれきのような硬質物も破砕可能
・スクリーンによって粒度調整が可能
・構造がシンプルで、消耗部品が少ない
・機械本体が比較的低価格
△デメリット
・軟質プラスチックやゴム、布類の破砕には不向き
・騒音や振動、粉塵の発生が大きい
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【移動式破砕機】

エンジンとキャタピラーを備え、リモコン操作で自由に移動可能な移動式破砕機です。最終処分場など、破砕現場の柔軟な対応が求められるシーンで活躍します。
◎メリット
・据置タイプに劣らない高い破砕能力
・作業エリアの柔軟な拡張が可能
・導入後すぐに稼働可能
△デメリット
・一部の都道府県では、設置許可の取得が難しい場合あり(固定が条件となるケースも)
・動力がエンジンなので、エネルギー変換分ランニングコストが高い傾向にある
👉 移動式破砕機の製品一覧はこちら
ここまで各種破砕機についてご紹介してきましたが、この多様さこそが「万能な破砕機は存在しない」ことを示しています。
だからこそ重要なのは、「何を破砕するのか」「どんな状態にしたいのか」という目的を明確にし、それに最適な破砕機を選ぶことです。
製品仕様だけでなく、メンテナンス性や導入後の運用コストも含めて総合的に判断することが、長期的なコスト削減と安定稼働につながります。
次からは用途別の例とポイントをお伝えします。
用途別|素材ごとに最適な破砕機選び

木材処理の場合
一軸破砕機が適しています、金属異物が付着している場合はハンマーシュレッダーの検討もお勧めです。
両機ともにスクリーンで粒度統制が可能です。
導入時にはスクリーン孔径と処理想定量を確認して機種を選びましょう。
廃プラスチックの場合
・硬質系プラスチック(例:バケツ、パレット、小家電など)は比較的破砕が容易でどの機種を選んでも対応可能です、処理能力と希望サイズを決めて機種選定してください。
・軟質系プラスチックは多種多様な素材があり、選定には慎重さが求められます。
フィルムロールの様に塊り状のものやロープの様に引っ張りに強く構成されている物は、押し込み装置付きの二軸せん断式破砕機がお勧めです。
(フィルムロールは直径400mm以下であれば一軸破砕機で対応できる場合があります)
普通の軟質系廃プラスチックでは嵩比重が非常に軽い事に注意が必要です。
フラフ燃料など軽いものでは笠比重0.05など非常に軽い場合があり、見極めを間違えると事業計画の希望処理能力を得られない場合がありますのでご注意ください。
薄物の廃プラスチックを処理する場合にも注が必要です、一軸破砕機は構造上点で切断する仕組みです、使用するうちに刃と刃の隙間が必ず開いていきます、すき間が1mm以上開いていきますと薄物が切断できなくなり極端に処理能力が低下します。刃の位置調整ができる機種でかつ毎日の作業に組み込めるほど簡単に調整ができるかをしっかり確認しましょう。
建設系や解体系の混合廃棄物の場合は、土間選別の省略化と選別ラインの選別精度向上のために粗破砕機とふるいをセットで導入するのがお勧めです、後工程の選別装置の理想のサイズを見極めて選ぶことが重要です。
金属スクラップの場合
大型塊や異形材の処理には二軸やハンマー式が有効です、また有価物であることからスクラップを破砕できるトルクを持った移動式破砕機も土地を有効活用できてお勧めです。
一次破砕後の選別性を考慮し、ライン全体のフロー設計を踏まえた機種選定が求められます。
破砕機を選ぶ際に心掛けたいポイント
世の中に数多ある破砕機の中から自社に適した破砕機を選ぶのは難しいかと思います。
設備は日進月歩で、今では異物に強い一軸破砕機、ジャンボジェット機のタイヤを破砕できる二軸破砕機、電気使用量を40%カットできる破砕機など、知ってさえいれば経営上優位に立つことのできる装置が市場には存在します。
そこで、お客様が破砕機を選ぶ際に、破砕機の基礎知識を備えていただき、あとは日頃破砕機の調査をしているプロである私どもにご相談していただくことが最適だと考えます。
メーカーから良い提案をもらうには自社の現状と要望を的確に伝える必要があります。
破砕機を購入した経験が多くないと、何をどう伝えれば良いのか、そこから悩まれるケースも珍しくありません。
基本的には次の内容をお伝えいただければ、メーカーから最適な機種の提案と説明を得られるでしょう。
【破砕機を選ぶ際に事前に確認すると良いこと】
①破砕対象物(投入する材料は何ですか?破砕困難物はありますか?)
②破砕対象物の量(1日あたりに処理したい処理量はどのくらいですか?)
③稼働時間(1日に何時間の運転を予定していますか?)
④破砕対象物のサイズ(投入材料はどのくらいの大きさですか?)
⑤破砕対象物のかさ比重(投入材料の1㎥あたりの重さはどのくらいですか?)
⑥破砕後のサイズ(破砕後の最小あるいは最大のサイズのご要望はありますか?)
⑦破砕後の用途(破砕された材料を最終的にどのように処理されますか?フラフ燃料、RPF燃料、焼却、埋め立て等)
導入事例|破砕機の稼働実績・効果を確認するには
実際の導入事例をご覧になることで、「自分の用途でも同様の成果が上がるのか」がイメージしやすくなります。
例えば、
東京都港区のセメントメーカー(S社様)では、「コメット2200PK」一軸破砕機を導入し、処理能力・安全性・保守性のすべての面でご満足をいただいています。
また、東京都足立区の廃プラ工場(S社様)では、風力選別機SDS1200と組み合わせたプラントを導入し、プラスチック新法に対応可能な高精度処理を実現しています。
→ 他にもさまざまな導入事例の詳細が記載されているページはこちらからご覧いただけます
まとめ
機器ご購入検討の際は機器類のことはもちろんのこと、処理後の出し先等についても弊社のネットワークを駆使してご相談に乗ります。
またご購入後も、円滑なプラント運営をサポートするべく迅速なメンテナンスサービスも行っており、ご購入前から後までお客様が安心して弊社とお取引できますよう尽力いたします。
どんな些細な内容でも構いませんので、何かお困りの際は以下よりお気軽にお問い合わせください。
製品の詳細については
こちらからお問い合わせください。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。
“後悔しない破砕機選び”にぜひ弊社の知見をご活用ください。