廃棄物処理施設やリサイクルプラントにおいて、リチウムイオン電池(LIB)に起因する火災事故が急増しています。
一度火災が発生すれば、設備の損壊、事業停止、さらには近隣住民への影響など、甚大な損害を招きます。
2026年3月30日、環境省より「循環型社会形成推進事業費補助金(リチウムイオン電池等の火災事故防止)」として、防火設備の導入を対象とした補助金制度が示され、公募が開始されました。
本記事では、ご検討中の方に向けて、「なぜリチウムイオン電池火災は防ぎきれないのか」その原因を深掘りし、さらに被害を最小限に抑えるための最新のセンサー式消火設備の有効性について解説します。
廃棄物処理施設で増えるリチウムイオン電池火災
近年、全国の清掃工場や民間のリサイクル施設で火災が頻発しています。
その多くが、不適切に混入した「リチウムイオン電池」が原因です。
まずは、実際の現場でどのような事故が起きているのか、以下のニュース映像をご覧ください。
【FNNプライムオンライン】ごみ処理場が爆発的火災
破砕機の中で電池が押し潰され、一瞬にして巨大な火柱が上がる様子。
👉 動画はこちら(YouTube)
【環境省公式】なくそう!リチウムイオン電池による火災
実際の処理施設での火災事故を取材した啓発動画。
👉 動画はこちら(YouTube)
なぜリチウムイオン電池は発火するのか
リチウムイオン電池は、小型で大容量の電力を蓄えられる反面、内部に燃えやすい有機電解液を含んでいます。
破損や変形によって内部ショートが発生すると、急激に発熱する「熱暴走」が起こります。この熱暴走は一度始まると連鎖的に反応が進み、数百度の高温に達して激しく発火・爆発するのが特徴です。
廃棄物処理・リサイクル現場で事故が起きる理由
本来、リチウムイオン電池は資源ゴミとして分別されるべきですが、モバイルバッテリー、電子タバコ、コードレス家電などに内蔵されたまま「燃えないゴミ」や「プラスチック資源」として混入してしまうケースが後を絶ちません。
こうした電池が収集運搬や処理工程に紛れ込むことで、発火の引き金となります。
破砕・選別工程で火災が拡大しやすい背景
特に危険なのが、重機による掻き込みや、破砕機での処理工程です。
⚠️ 物理的衝撃⚠️
破砕刃による圧縮・切断が、電池を直接破壊しショートさせます。
⚠️可燃物の密集⚠️
廃棄物の組成にはプラスチックや紙屑など可燃性で燃え移りやすい素材が多く、火種が発生するだけで瞬時に燃え広がるリスクがあります。
⚠️検知の漏れ⚠️
検知漏れには大きく2種類あります
① コンベヤ上からセンサーを当てた場合、火種が山積みのゴミの下(表面から4cm以上)に潜り込んでいた場合検知漏れが発生します。
②一般的に普及しているシリコンフォトセルセンサーでは、赤化し始める650℃以上の温度は検知出来ますが、火種の可能性を有する300~650℃までの温度領域の物体は検知できません。
火災対策として注目される「センサー式消火設備」
人手による監視や消火器での対応には限界があり、現実的ではありません。
そこで現在、多くのプラントで導入が進んでいるのが、自動で火種を火種を自動で検知し、その周囲や火種を自動的に濡らす**「センサー式消火設備」**です。
赤外線センサーによる発火検知の仕組み
炎や650℃以上はもちろん赤化する前の低温の火種を見逃さないよう、目に見えない段階の赤外線(熱放射)を検知します。
高精度の赤外線サーモグラフィカメラが常時監視し、あらかじめ設定した閾値を超えた「異常発熱」を0.1秒単位で捉え瞬間的なスパークも見落としません。
発火を検知して瞬時に消火するシステム
熱を検知すると、システムが自動的に火種の場所を特定。
固定式スプリンクラーやノズルが連動し、ピンポイントで放水または消火剤を散布するまで、一連の動作が自動で行われます。
初期消火を自動化することで、夜間や休日はもちろん、人の目が届きにくい破砕機内部やコンベヤの合流地点でも、確実に対応できるようになります。
人手による対応より優れる理由
☑スピード☑
煙や炎が出る前の「熱」の段階で反応するため、人の目で判断が出来ない赤化していない火種も見つけられ被害を最小限に抑えられます。
☑安全性☑
作業員が火元に近づく必要がなく、二次災害や煙による吸引事故を防げます。
24時間監視: 疲労や見落としのない機械による常時監視が、プラントの安全を担保します。
センサー式消火設備を導入するメリット
単なる消火機材ではなく、経営を守るための“確かな投資”です。
火災被害の未然防止
一度火が出てしまえばごく短時間のうちに延焼してしまいますが、火種の段階で発見し周囲の材料ごと水で濡らしてしまえば延焼を防ぐことができます。
初期段階で火種を鎮火できれば、スプリンクラーを作動させて施設全体を水浸しにするような事態を避けられます。ボヤのうちに処理することで、建物や高価な処理機械への損傷を防ぎます。
設備停止や事業リスクの低減
大規模な火災が起きれば、数ヶ月にわたる操業停止を余儀なくされます。代替処理費用の発生や、自治体・取引先からの信頼失墜は、リサイクル事業者にとって死活問題です。自動消火システムは、この「事業継続計画(BCP)」の核となります。
作業員の安全確保
火災現場での消火活動は、爆発のリスクも伴い非常に危険です。自動化によって現場スタッフの安全を最優先に確保でき、安心して働ける職場環境づくりにつながります。
廃棄物処理施設における火災対策のポイント
導入だけで満足してしまうと、火災リスクは減りません。運用の最適化こそが対策の要です。
設備導入と運用の両面での対策
高度な選別機や消火設備を導入すると同時に、スタッフへの安全教育や、万が一の際の避難訓練・マニュアル整備を組み合わせることが重要です。
リチウムイオン電池混入を前提とした安全設計
現代の廃棄物処理において「電池の混入をゼロにする」ことは極めて困難です。
そのため、「混入していることを前提に、いかに火種を早く見つけ、被害を出さずに処理するか」という攻めの安全設計が求められています。
まとめ|リチウム電池火災対策は設備導入が重要
リチウムイオン電池の使用量は年々増加しており、廃棄物処理現場での火災リスクは今後さらに高まることが予想されます。
・リチウム電池火災は今後さらに増加する経営課題
・「人手」に頼らないセンサー式消火設備による自動化が有効
・「早期検知」と「即時消火」こそが、プラント崩壊を防ぐ鍵
大切な設備と従業員を守り、安定した資源循環ビジネスを継続するために、最新の火災検知・消火システムの導入は、リスクを下げるうえで欠かせない装置です。
しかし現状では、防火システムはあくまでリスクマネジメントのための設備であり、他の装置のように直接利益を生むわけではないことから、予算化が難しいという声も少なくありません。そのため、導入が進んでいない現場がまだ多く存在します。
今回新たに、『循環型社会形成推進事業費補助金』が発表され公募が始まりました。
この機会に是非検討しリスクマネジメントを見直してみてはいかがでしょうか。
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「どこから手をつければいいか分からない」という段階でも大丈夫です。
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