建築・解体の現場から日々出てくる「廃石膏ボード」。
かつては再利用が難しく、埋め立てるしかない廃材となっていました。
しかし近年、技術と市場の両面で大きな変化が起きています。
その背景には、“ボードtoボード”リサイクルの進化と、
リサイクル材を求める”需要の高まり”があります。
今回は、石膏ボードリサイクルの現状と、
リサイクル推進を裏で支えるリョーシンの取り組みをお届けします。
変わり始めた石膏ボードリサイクルの構造
2024年後半まで、石膏ボードを作る際の原材料として、リサイクルされた再生石膏粉を
利用できる比率は全体の約5~10%未満に過ぎませんでした。しかも、その中心は新築現場から排出される端材のキレイな廃石膏ボードでした。
残る約90%の原材料は、火力発電所から出る化学石膏や鉱山から切り出した天然石膏を輸入するかなど、主にバージン材に依存していました。
廃石膏ボードの他の用途としては、セメント原料や地盤改良材、固化剤などの原料として再利用されますが、
どれも受入れキャパシティが少なく「再利用したくても受け入れ先がない」ことが
最大の課題として廃石膏ボードリサイクルを推し進めることが難しい状況でした。
しかし、2024年末以降は状況が一変します。
各石膏ボードメーカーが“ボードtoボード”技術を新たに開発しました。
さらに、廃石膏粉の原材料比率を最大100%とした新たな石膏ボード製品の開発にも成功し、
リサイクル材使用量を大幅に増やすことを実現しました。
リサイクル材が再び“ボードの原料”として使われるようになったことで、
廃石膏ボードは「資源」としての価値を取り戻しました。
分離前の廃石膏ボード
解体系石膏ボードに混入する異物
「石膏ボードから石膏ボードへ」実現した背景にある技術革新
石膏ボードは「石膏の粉」と「紙」から構成されており、
その分離が難しいこと、また解体工事で混入してしまう金属など、
異物への機械の耐久性が廃石膏ボードリサイクル普及の壁になっていました。
それを打開したのが、米国スコットイクイップメント社製の
ターボセパレーターという石膏分離機です。
ターボセパレーターT30
機器内部
廃石膏ボードを細かく砕きながら、粉と紙を効率よく分離。
再生材として再利用できる品質にまで高めることができます。
他にも、金属やモルタルなどの異物混入の許容・省人力化
・省メンテナンス化・大量処理・コンパクトなプラント構成など、
その後の運用において、非常に有効な特徴があります。
廃石膏ボードリサイクル現場の課題「粉塵」
リサイクルの需要が増える一方で、現場での課題もあります。
それが「粉塵対策」です。
廃石膏ボードリサイクルの推進の妨げとなっている理由の1つは、
『粉塵』問題が挙げられるかと思います。
石膏の粉は非常に軽く、他のリサイクルと比べても、特に粉塵として
舞い上がりやすい性質があります。
リョーシンでは、これまで導入した全国のお客様からのご要望から、
まずはリサイクルライン全体を密閉にし集塵機を取り付けることで対策を講じてきました。
しかし、どうしても密閉できない箇所があります。
原材料のダンプアップ場所、プラントへの投入口、プラントからの製品出口です。
このような密閉できない場所に完璧な対策は難しいですが、
吸引フード型の粉塵吸引システムといった対策で、極力工場から粉塵が出ないご提案をしております。
粉塵対策は環境改善だけではなく、
現場の安全性と作業効率を両立させる設備としても多くのお客様に採用されています。
㈱静勝様(静岡県御殿場市)
石膏ボードリサイクルプラント紹介動画はこちら
2050年、廃石膏ボード量は2倍の約300万トン/年に
(一社)石膏ボード工業会の推計によれば、2050年には廃石膏ボードの排出量が
現在の約2倍になるとされています。
背景には、高度成長期やバブル期の建物の老朽化と解体需要の増加があります。
つまり、今後は「リサイクルしない選択肢」がなくなる時代へ。
出口の確保が進んだ今こそ、処理体制を整備する絶好のタイミングです。
ターボセパレーターのような分離機を導入することで、
新たな商機の獲得・廃棄コストの削減や現場の環境改善・メーカーへの安定供給を
同時に実現することができます。
リョーシンが目指すのは、“現場に根ざした循環型社会”
リョーシンは、ただ機械を販売するだけではありません。
「廃棄物を資源に変える現場づくり」をテーマに、
お客様のリサイクル環境づくりをトータルサポートしています。
ボードtoボードが普及した今、私たちが次にすべきことは
「誰もがリサイクルできる環境を整えること」。
今後増え続ける廃石膏ボードリサイクルを、
リョーシンは機械技術を用いて、現場から応援していきます。
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